

高岡智則
年齢:33歳 性別:男性 職業:Webディレクター(兼ライティング・SNS運用担当) 居住地:東京都杉並区・永福町の1LDKマンション 出身地:神奈川県川崎市 身長:176cm 体系:細身〜普通(最近ちょっとお腹が気になる) 血液型:A型 誕生日:1992年11月20日 最終学歴:明治大学・情報コミュニケーション学部卒 通勤:京王井の頭線で渋谷まで(通勤20分) 家族構成:一人暮らし、実家には両親と2歳下の妹 恋愛事情:独身。彼女は2年いない(本人は「忙しいだけ」と言い張る)
交換相関汎関数とは何か
この記事は初心者向けの入門ガイドです 交換相関汎関数 という言葉を、難しい数式をできるだけ避けてわかりやすく解説します。
物質の電子はお互いに影響し合っていますがこの相互作用はとても複雑です。密度汎関数理論 DFT ではこの複雑さを一つの関数に置き換えます。その「一つの関数」が 交換相関汎関数 です。
DFT で扱うのは電子の密度 n(r) です。電子の密度が決まると、全体のエネルギーや性質をある程度予測できます。交換相関汎関数はこのエネルギーの非自明な部分を近似する役割を持っています。
交換相関の役割をイメージで
電子同士の反発は「交換効果」と「相関効果」に分けて考えられます。交換効果は量子の性質として生まれる近しい軌道のふるまいを表し、相関効果は電子が互いに引きつけあったり、避けたりする現象を表します。
Exc[n] というエネルギー汎関数は、n(r) に依存する形でこれらの効果を一つにまとめたものです。全体エネルギーの式では他にも運動エネルギー T_s[n] や外部ポテンシャル V_ext[n]、電子間のクーロンエネルギー E_H[n] などがありますが、Exc[n] が無いと実際の計算はうまくいきません。
代表的な近似の例
現実には Exc[n] を正確に求めることは難しく、近似を使います。よく使われる近似には以下のようなものがあります。
| 近似の種類 | 特徴 | 代表例 |
|---|---|---|
| LDA | 局所的な密度の値だけを使う | Local Density Approximation |
| GGA | 密度の勾配を取り入れて改善 | PBE |
| meta-GGA | 密度の二次情報を使いさらに精度向上 | TPSS など |
| hybrid | 一部の波動関数の寄与を混ぜる | B3LYP など |
どの近似を使うべきかは研究の目的次第 です。材料の性質を調べるなら GGA や meta-GGA がバランス良いことが多く、分子のスペクトルや正確さを重視する場合は Hybrid の方が適していることがあります。
使い分けのコツ
初心者向けのコツとしては、まずは PBE などの標準的な GGA から始め、結果が足りないと感じたら別の近似を試すと良いです。実験データと比較してみて、必要に応じて補正を検討します。
実務でのポイント
計算を始める前に、目的の性質に適した近似を選ぶことが重要です。過剰な近似の乱用は誤解を生む原因になることがあるため、必ず複数の近似で結果を比べると良いでしょう。
まとめ
交換相関汎関数は DFT の要となるエネルギー項です。近似の選択が計算結果の精度を大きく左右します。初学者にはまず GGA 系の近似を試し、段階的に hybrid や meta-GGA に挑戦するのがおすすめです。
交換相関汎関数の同意語
- 交換相関汎関数
- DFTにおいて、交換効果と相関効果のエネルギーを密度の関数として一つにまとめて表す汎関数。
- 交換-相関汎関数
- 同上、ハイフン表記の別名。
- XC汎関数
- DFT研究で広く使われる略語。交換と相関のエネルギーを表す汎関数のこと。
- 交換相関エネルギー汎関数
- 交換と相関のエネルギー成分を定義する汎関数。
- 交換エネルギー・相関エネルギー汎関数
- 交換エネルギーと相関エネルギーを1つの汎関数で取り扱う表現。
- 交換・相関汎関数
- 同義表記。交換と相関のエネルギーを統合して表す汎関数。
交換相関汎関数の対義語・反対語
- 非交換相関汎関数
- 交換と相関の両方を含まない汎関数。実際にはHartreeエネルギーなど、古典的なクーロン反発のみを扱う近似に近い意味合いです。
- 交換のみを含む汎関数
- 相関を一切含まず、交換エネルギーだけを計算する汎関数。DFTの一般的な枠組みには通常含まれませんが、交換効果を分離して考える場面の対照として用いられます。
- 相関のみを含む汎関数
- 交換エネルギーを除いて相関エネルギーだけを扱う汎関数。多体相関の影響を分離して検討したいときの対照として考えられる概念です。
- 無相関汎関数
- 電子間の相互作用を完全に無視した近似の汎関数。E_xc[n] = 0 に近い設定で、非相互作用近似の一部として用いられます。
- Hartree汎関数
- 電子密度 n(r) に対する古典的なクーロン反発エネルギー E_H[n] を表す汎関数。交換・相関は含まず、純粋な Hartree(クーロン)項の考え方です。
- 非相互作用汎関数
- 全ての電子間相互作用を無視または分離して扱う汎関数。Kohn–Sham系で使われる非相互作用系のエネルギーに対応します。
交換相関汎関数の共起語
- 密度汎関数理論
- 量子系の電子の性質を電子密度だけから予測する計算手法の総称。波動関数を直接扱わず、密度を中心にエネルギーや性質を計算します。
- 電子密度
- 空間に分布する電子の確率密度。DFTの入力となり、交換相関汎関数の評価にも用いられます。
- Kohn–Sham方程式
- DFTを実用的に解くための自己無矛盾場方程式。非相互作用系の軌道を用いて相互作用を交換-相関汎関数で近似します。
- 自洽場
- 反復的に密度・ポテンシャルを収束させて、一致した自己無矛盾場を得る計算手法(SCF計算とも呼ばれます)。
- 交換相関汎関数
- 電子の交換エネルギーと相関エネルギーを密度の関数として表す近似汎関数。DFTの核心となる項です。
- 交換エネルギー
- 電子同士の交換作用によって生じるエネルギー成分。スピン・軌道の重なりによる統計的効果を含みます。
- 相関エネルギー
- 電子間の動的な相関を表すエネルギー成分。運動の同期性を表現します。
- 局所密度近似
- 密度が局所的に一定と仮定する最も単純な汎関数近似。LDAと呼ばれます。
- 局所スピン密度近似
- スピン分極を局所的に扱うLDAの拡張形。LSDAとも略されます。
- 一般化勾配近似
- 密度の勾配情報を取り入れて精度を高める近似。GGAと呼ばれます。
- PBE汎関数
- 最も広く用いられるGGAの一つ。Perdew–Burke–Ernzerhof汎関数の略称です。
- PW91
- Perdew–Wang 1991のGGA汎関数の一つ。古典的な近似としてよく使われます。
- ハートリー-フォック法
- 電子間の交換を厳密に扱う波動関数法。相関を含まない近似で、DFTの比較対象として用いられます。
- ハイブリッド汎関数
- 交換エネルギーの一部をハートリー-フォックの交換に置き換える汎関数群。相関はDFT汎関数で扱います。
- B3LYP
- Beckeの3-parameterとLee–Yang–Parrの相関を組み合わせた、代表的なハイブリッド汎関数。化学系計算で広く使われます。
- PBE0
- PBEをベースにしたハイブリッド汎関数。交換の一部をHF交換で混ぜた形式です。
- HSE06
- スクリーン化されたハイブリッド汎関数。固体計算や表面計算で高精度と計算効率の両立が得られます。
- PBEsol
- 固体計算向けに最適化されたPBE系汎関数で、晶格定数の再現性を高めます。
- メタGGA
- 密度勾配だけでなく、局所軌道情報を追加で扱う近似。SCANやTPSSが代表例です。
- SCAN汎関数
- 非経験的で高精度とされるメタGGA汎関数。分子系・固体系の両方で安定して用いられます。
- TPSS汎関数
- TPSSはTPSS汎関数の一つで、メタGGAの代表的な近似です。
- 第一原理計算
- 原子核の位置を実験データに依存せず、基本理論だけで系の性質を求める計算手法の総称。
- 基底関数
- 波動関数を展開する関数の集合。計算精度とコストを直接左右します。
- 自洽計算
- SCF法を用いて密度とポテンシャルを収束させる計算プロセス。
- 軌道
- 電子状態を表す量子力学的な関数。Kohn–Sham軌道や分子軌道などが用いられます。
交換相関汎関数の関連用語
- 交換相関汎関数
- DFT の中心的な汎関数で、電子間の交換効果と相関効果を同時にエネルギーとして表現します。
- 交換エネルギー
- 同一スピン電子間の反発を回避する寄与で、交換効果に対応するエネルギー成分です。
- 相関エネルギー
- 電子同士が動きを互いに影響し合うことによって生じるエネルギー寄与です。
- 交換相関ポテンシャル
- 交換相関汎関数のエネルギーを密度から導く力(ポテンシャル)で、Kohn-Sham 方程式の入力となります。
- Kohn-Sham方程式
- DFT の計算で用いられる自己無撞着場に基づく方程式。実在系を非相互作用系と見立てて解きます。
- 密度汎関数理論(DFT)
- 電子密度を基本量としてエネルギーを推定する理論。計算効率が高く、材料科学や分子科学で広く使われます。
- 局所密度近似(LDA)
- 局所の電子密度だけを用いて交換-相関エネルギーを近似する最も基本的な近似です。
- 一般化勾配近似(GGA)
- 密度の勾配情報を取り入れて精度を高めた近似。原子間相互作用の再現性が改善されます。
- メタGGA
- 密度・勾配・運動エネルギー密度などを組み合わせた上位の近似。複雑な性質の再現性が向上します。
- ハイブリッド汎関数
- 厳密交換の一部を取り入れ、DFT と正確交換を組み合わせた汎関数です。分子計算で特に有効です。
- PBE
- Perdew–Burke–Ernzerhof による標準的な GGA 汎関数。バランスの良さから広く使われます。
- PBEsol
- 固体の結晶格子定数など固体向けの精度を高めた PBE の改良版です。
- PBE0
- PBE を基にしたハイブリッド汎関数。一定割合の厳密交換を混ぜます。
- B3LYP
- Becke88交換とLYP相関を組み合わせた分子計算で定番のハイブリッド汎関数です。
- HSE
- Heyd–Scuseria–Ernzerhof の略。スクリーン化した交換を用いるハイブリッドで、固体計算で特に有効です。
- SCAN
- Strongly Constrained and Appropriately Normed の略。強く制約され適切に正規化されたメタGGA。多くの物性物質で安定した性能を示します。
- r2SCAN
- SCAN の改良版で、数値安定性と実行速度のバランスを改善しています。
- VWN相関汎関数
- Vosko–Wilk–Nusair による局所密度近似の相関エネルギー汎関数です。
- LYP
- Lee–Yang–Parr による相関汎関数で、分子系の計算で広く使われます。
- Becke88交換(B88)
- Becke による勾配補正を含む交換汎関数の古典的な形。GGA の基盤となります。
- B3LYP(Becke88交換 + LYP相関)
- B88交換と LYP相関を組み合わせた定番のハイブリッド汎関数です。
- 導関数不連続(Derivative discontinuity)
- 電子数が整数をまたぐとエネルギーの一階導関数が跳ぶ現象。バンドギャップ計算に影響します。
- 自己相互作用誤差(Self-interaction error)
- 自分自身の電荷と相互作用してしまう誤差で、近似汎関数の共通の課題です。
- アディアバティック接続(アディアバティック接続)
- 相関エネルギーを、結合定数を連続的に変化させながら系を連結して考える理論的手法です。
- Jacobのはしご(Jacob's ladder)
- DFT の汎関数の階層構造を、密度・勾配・運動エネルギー密度・軌道情報などで段階的に整理した概念です。
- 分散力補正(DFT-D3/D2 など)
- 分散力を補正して相互作用を正しく扱う手法。広く用いられます。
- van der Waals functionals(vdW-DF)
- 分散力を汎関数に直接組み込むアプローチ。分子間結合の再現性が向上します。
- バンドギャップ問題
- 標準的なDFT汎関数で固体のバンドギャップが実験値より小さく出がちになる現象です。
- スピン分極
- 系の磁性を表すために、アップとダウンの電子密度の差を扱う概念です。
- LSDA(Local Spin Density Approximation)
- 局所スピン密度近似。LSDA の一種として、スピン情報を局所的に扱います。
- SCF(自己無撞着場計算)
- 密度や波動関数を自己無撞着に反復して解を求める計算手法です。
- XC空洞(XCホール)
- 交換-相関効果によって、他の電子の占有を抑制するよう空間分布が変化する概念です。
- 二重計上(Double counting)
- 同じ物理寄与が複数の項で二重に計上される誤差のことです。
- 固体計算 / 分子計算
- DFT の応用分野。固体の結晶や分子の性質を予測する用途に分かれます。
交換相関汎関数のおすすめ参考サイト
- 第一原理計算とは - JSOL CAEソリューション
- 汎関数(ハンカンスウ)とは? 意味や使い方 - コトバンク
- 第一原理計算とは - JSOL CAEソリューション
- 【初心者向け】密度汎関数理論(DFT)とは | 基礎編 - Matlantis



















