

高岡智則
年齢:33歳 性別:男性 職業:Webディレクター(兼ライティング・SNS運用担当) 居住地:東京都杉並区・永福町の1LDKマンション 出身地:神奈川県川崎市 身長:176cm 体系:細身〜普通(最近ちょっとお腹が気になる) 血液型:A型 誕生日:1992年11月20日 最終学歴:明治大学・情報コミュニケーション学部卒 通勤:京王井の頭線で渋谷まで(通勤20分) 家族構成:一人暮らし、実家には両親と2歳下の妹 恋愛事情:独身。彼女は2年いない(本人は「忙しいだけ」と言い張る)
スピン多重度とは?基本の考え方
まず「スピン多重度」という言葉は、物質を作る粒子の「スピン」という性質と、それが取り得る状態の数を表したものです。スピンとは高速で回っているように見える粒子の内的な運動量のことを指します。実際には観測できる量ではなく、量子の世界だけの現象です。スピン多重度は「その粒子が取り得るスピン状態の数」を意味します。例えば、私たちが日常で使う言葉のような直感ではなく、数理的な規則に従って決まります。
最も身近な例は、電子のスピンです。電子のスピンは「上向き」(+1/2)と「下向き」(-1/2)の二つの状態を取ることができます。これを「スピン1/2の粒子」と呼び、対応する多重度は2になります。公式には「多重度 = 2S + 1」と書かれ、ここで S はスピン量子数です。電子の S は半整数の値で、今回は S = 1/2 なので多重度は 2 になります。これが「ダブレット(doublet)」と呼ばれる状態です。
さらに二つの電子が一緒にいる場合を考えると、スピンの組み合わせで新しい状態が生まれます。二つのスピンを合成すると、
・取り得る全スピン状態は三つになる場合(スピン多重度が 3)
・それ以外の一つの状態になる場合(スピン多重度が 1)
のように分かれます。これを「三重項(triplet)」と「一重項(singlet)」と呼ぶことが多く、三重項は多重度が 3、単項は多重度が 1です。表現の仕方としては、電子二体の波動関数を作るときに、対称性の違いを使って「自分と相手のスピンの並び方」を決めます。具体的には、同じ向きのスピン同士で作る三重項はエネルギー的に安定になることが多く、反対向きの組み合わせを作る一重項は別のエネルギー準位に現れることがよくあります。
スピン多重度の計算のコツ
基本的な考え方はとてもシンプルです。粒子のスピン量子数 S が分かれば、多重度は 多重度 = 2S + 1 で決まります。S が 1/2 の場合は多重度が 2、S が 1 の場合は多重度が 3、S が 3/2 の場合は多重度が 4 となります。これを覚えるだけで、原子の電子構成や原子間の結合の性質を理解する第一歩になります。
実験では、光の吸収・放出スペクトルを観察することで、どのようなスピン状態が実際に存在するのかを調べることができます。例えば、水素原子などの単純なモデルでは、電子のスピン状態が決まることで、スペクトル線の数や配置が変わることがわかります。理論と実験を結びつけるこの考え方は、化学や材料科学、物理学の基礎となる重要な知識です。
よくある誤解と注意点
・スピン多重度は粒子の「向き」を表すだけではなく、量子の組み合わせ方を示しています。単純に「上が多い/下が多い」という直感だけでは理解できません。実際には、二つ以上のスピンをどう組み合わせるかで、波動関数の対称性が変わり、結果として異なるエネルギー準位が現れます。
・スピンは実空間の位置と独立している性質なので、材料の性質を決めるときには、電子のスピンだけでなく、電子間の相互作用や軌道の状態も同時に考える必要があります。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| スピン量子数 S | 粒子が取り得るスピンの基本量子数。整数・半整数を取り得る。 |
| 多重度 | 多重度 = 2S + 1。S が半整数なら 2S+1 は整数。例: S = 1/2 → 多重度 2、S = 1 → 多重度 3。 |
| singlet / triplet | 二体以上のスピンを組み合わせたときの対称性による状態の分類。singlet は多重度 1、triplet は多重度 3 が代表。 |
スピン多重度の同意語
- スピン多重度
- 総スピン量子数 S に基づく、分子や原子のスピン状態の数を表す指標。値は 2S+1 で決まり、磁気的性質や分光の選択規則に影響します。
- スピン多重性
- スピンの重なり具合を表す同義語。2S+1 の数としての多重性を指し、磁性・分光の特性を決定する要素です。
- スピン縮退
- スピン状態の縮退・縮退度を意味する表現。外部磁場がないときに同じエネルギーを持つスピン状態の数=スピン多重度と等価に用いられます。
- スピン状態の多重度
- スピン状態の数を示す表現。総スピン S によって決まり、2S+1 がその値となります。
- スピン状態の縮退
- スピン状態の和が同じエネルギーに並ぶことを指す表現。スピン多重度と同義で使われることがあります。
- スピンの縮退度
- スピン状態が同じエネルギーで並ぶ程度を示す指標。一般にはスピン多重度と同義で用いられます。
スピン多重度の対義語・反対語
- 高スピン状態
- スピン多重度が比較的大きい状態。未対電子が多く、総スピンSが大きい。例としてセクスタット以上の多重度状態が含まれる。
- 低スピン状態
- スピン多重度が比較的小さい状態。未対電子が少なく、総スピンSが小さい。通常はシングレット状態など最も低い多重度を指すことが多い。
- シングレット状態
- スピン多重度M=1の状態。未対電子がゼロで、総スピンS=0。低多重度の代表的状態。
- ダブルレット状態
- スピン多重度M=2の状態。総スピンS=1/2。1個の未対電子を持つラジカルなどに現れる。
- トリプレット状態
- スピン多重度M=3の状態。総スピンS=1。2つ以上の未対電子が平行にスピンを持つ状態の一例。
- クォータレット状態
- スピン多重度M=4の状態。総スピンS=3/2。
- クインタレット状態
- スピン多重度M=5の状態。総スピンS=2。
- セクスタット状態
- スピン多重度M=6の状態。総スピンS=5/2。
- セプテット状態
- スピン多重度M=7の状態。総スピンS=3。
- オクテット状態
- スピン多重度M=8の状態。総スピンS=7/2。
- 閉殻状態
- すべての電子が対になっている状態で、未対電子がゼロ。スピン多重度は最も低い状態になることが多い。
スピン多重度の共起語
- 電子スピン
- 電子が持つ内在的な角運動量の性質。+1/2や-1/2などのスピン量子数で表される。
- 自旋
- 量子力学で用いられる“スピン”の別名。電子や核の回転に関する性質の総称。
- スピン量子数
- スピンの大きさを表す量子数。Sの値で表され、M=2S+1で多重度が決まる。
- 総スピン量子数
- 分子全体の自 spin の大きさを示す量子数Sの値。
- 自旋量子数のz成分
- 外部磁場方向に沿うスピンの成分。M_Sとして表されることが多い。
- 基底状態
- 分子が最も安定なエネルギー状態。スピン多重度は通常この状態のM=2S+1で決まる。
- 励起状態
- 基底状態よりエネルギーが高い状態。スピン状態も異なることがある。
- シングレット状態
- スピン多重度M=1の状態。総スピンS=0。
- ダブレット状態
- スピン多重度M=2の状態。総スピンS=1/2に対応することが多い。
- トリプレット状態
- スピン多重度M=3の状態。総スピンS=1。
- 四重項状態
- スピン多重度M=4の状態。総スピンS=3/2。
- 多重度
- スピン状態の“重なりの数”を表す指標。M=2S+1で決まる。
- スピン軌道耦合
- スピンと軌道運動が相互作用してエネルギー準位を分裂させる現象。
- ハミルトニアン
- エネルギーの総計を決定する方程式。スピン項や軌道項を含むことがある。
- スピン結合
- 複数のスピン間の交換相互作用。磁性や多重度の決定に関与。
- 交換相互作用
- スピン間の相互作用の一種で、電子間のスピン配置を安定化させる。
- Hundの規則
- 電子をできるだけ同じスピンで並べることで、最大多重度になるよう配置するという規則。
- 選択規則
- 遷移時に許される変化を定める規則。スピンの変化量の制限がある。
- スピン密度
- 分子内のスピンの空間分布。磁気特性の解析に使われる。
- 分子軌道配置
- 各電子がどの分子軌道をどのスピンで占有しているかの配置。多重度に影響。
- 電子配置
- 原子・分子での電子の占有状況全般。スピン状態と深く関わる。
- 磁性
- 磁場に対する応答。スピン状態の分布によって決まる。
- 磁気モーメント
- 磁場に対する物体の応答を表す指標。スピンの寄与が大きい。
- スペクトル
- 光のスペクトルなど、エネルギー差に対応する観測量。多重度の違いで線強度が変わる。
- 遷移エネルギー差
- ある状態から別の状態へ遷移する際のエネルギー差。多重度の一致/不一致が重要。
- 磁気共鳴
- 磁場とスピンの相互作用を使う測定法。スピン状態の違いを検出する。
- 電子配置占有数
- 各分子軌道の占有数とスピンの組み合わせによって決まる。多重度に影響。
- 分子磁性
- 分子レベルでの磁性現象。スピン多重度と強く関連する。
スピン多重度の関連用語
- スピン多重度
- 総スピン量子数 S に基づき、状態の縮退度を表す指標。式は M = 2S + 1。例: S=0 でシングレット、S=1/2 でダブレット、S=1 でトリプレットなど。
- 総スピン量子数 S
- 電子の総スピンを表す量子数。スピン多重度は M = 2S + 1 で決まる。未対電子が多いほど S は大きくなる傾向がある。
- 磁気量子数 M_s
- スピンの投影量子数で、取り得る値は -S から +S までの整数(または半整数)。磁気的状態の分裂やスペクトルに影響する。
- 未対電子数
- 最外殻で対になっていない電子の数。未対電子が多いほどスピン多重度は高くなる。
- 開殻電子 / 閉殻電子
- 開殻電子系は未対電子を含み分極性があり、閉殻電子系は全ての電子がペアになっている状態。
- シングレット / ダブレット / トリプレット / クォータート状態
- スピン多重度の代表例。シングレットは多重度1、ダブレットは2、トリプレットは3、クォータートは4。対応する S はそれぞれ 0, 1/2, 1, 3/2。
- Hund の規則
- 原子の基底状態では、可能な限り多くの未対電子を配置して最大スピン多重度を取るのが安定とされる経験則。結果的に多重度が決まることが多い。
- LS結合 / jj結合
- 原子のスピンと軌道角運動量の結合様式。LS結合は総合的な L と S を先に結合し、JJ結合は各量子数を順番に結合する考え方。
- 項記号 (Term symbol)
- 分光学で使われる記号。例: ^2P_3/2 は multiplicity 2S+1 = 2、軌道量子数 L = P、総角運動量 J = 3/2 を表す。
- スピン軌道相互作用
- スピンと軌道運動量の結合によるエネルギー分裂。分子・原子のスペクトル・磁性に影響する。
- スピン結合(交換相互作用)
- 電子間の交換相互作用によって、スピン配置のエネルギーが安定化したり分裂したりする。
- 高スピン状態 / 低スピン状態
- 同じ環境下で、未対電子の数の違いによりエネルギー的に安定な状態が異なる。高スピンは未対電子が多い状態、低スピンは少ない状態。
- パラ磁性 / 反磁性
- 未対電子の有無により磁場に対する応答が異なる。未対電子が多いとパラ磁性、全電子がペアなら反磁性が支配的になることが多い。
- 磁気モーメント
- 電子のスピンと軌道運動によって生じる磁気的性質。近似式として μ_eff ≈ g sqrt(S(S+1)) μ_B が用いられる。
- ラジカル / 開殻系
- 未対電子を含む分子種をラジカルと呼ぶ。スピン多重度の指標にも影響する。
- ESR / EPR(電子スピン共鳴/電子自 spin 共鳴)
- 電子スピンの分布とスピン多重度を測定・推定する実験技術。分子の開殻性を評価する際に有用。
- ペアリングエネルギー
- 電子を対にするためのエネルギー。高スピン状態と低スピン状態の安定性を決定する要因の一つで、遷移金属錯体などで重要。



















