高岡智則
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はじめに
接地抵抗値は電気設備の安全性を判断するうえで欠かせない指標です。地中を流れる電流の抵抗を示し、機器が異常時に安全に地面へ電流を逃がせるかを表します。家庭の分電盤から工場の大規模設備まで、接地抵抗値が適切でないと感電や火災の原因になり得ます。
接地抵抗値とは何か
接地抵抗値は単位としてオーム(Ω)で表されます。低いほど地面へ電流が抜けやすく、機器の動作が安定します。ただし、低すぎても問題になることは少ないものの、目安値は設備の種類や設置場所によって異なります。
測定が必要な理由
新築時や改修時、地震・雷などの影響後には測定を行い、設計値と実測値の差を確認します。目標値を満たさない場合は接地抵抗の低減が必要です。
測定方法
接地抵抗値を測定するには専用の機器が使われます。代表的なものとして地絡抵抗計や接地抵抗計があります。測定は配電盤の近くや接地棒周辺で行います。測定時には周囲の金属物の影響を避け、土壌条件を安定させることが重要です。
代表的な値の目安
目安は設備の種類や国・地域の規準で異なりますが、家庭用の一般的な目安としては 接地抵抗値が数Ω程度から10Ω程度、工場の大規模設備では 1Ω以下を目指す場合もあります。ただし現場の条件で大きく変わるため、現場ごとに適切な値を専門家と確認してください。
| 場所の例 | 目安値(Ω) | 備考 |
|---|---|---|
| 家庭の分電盤の接地 | 数Ω〜10Ω程度 | 実測値は地域差がある |
| 工場の大規模設備 | 1Ω以下を目指す場合が多い | 土壌条件や地盤の構成で変化 |
土壌抵抗率との関係
接地抵抗値は土壌抵抗率にも影響されます。土が湿っていると抵抗は下がり、乾燥していると上がるため、降雨後や季節的な変化にも注意が必要です。
接地抵抗値を下げる方法
抵抗値を下げる基本的な方法として、接地棒を増やす、地中の導電体を増設する、接地系の接触面を清掃し腐食を防ぐ、湿潤を保つための地表材の設計などがあります。現場によって適切な方法が異なるため専門家の判断が重要です。
よくある質問
Q: なぜ接地抵抗値が高いと危険なのか？ A: 高い抵抗値は故障時や雷・サージ時に地面へ逃がせる電流が不足し、金属部分が帯電して感電のリスクを高めるためです。
まとめ
接地抵抗値は電気機器の安全運用に直結する基本指標です。測定と適切な対策を組み合わせることで、感電や火災の危険を大幅に減らすことができます。この記事で紹介したポイントを覚え、必要に応じて専門家に相談してください。
接地抵抗値の同意語
- 接地抵抗値
- 接地（アース）系の抵抗値を指す。地表や地中の導体と地球との間の電気抵抗を表す測定値で、接地の安全性評価に用いられる。
- 接地抵抗
- 地球と接地系の間の抵抗そのもの。測定対象になる数値で、安全基準を満たすために評価・測定される。
- アース抵抗値
- アース（地面・大地）と接地系の間の抵抗値。表記として“アース抵抗値”が使われることが多い。
- アース抵抗
- アースと呼ばれる地球側の抵抗のこと。接地系の抵抗値の別表現として用いられる。
- 地絡抵抗
- 地絡回路と地球の間の抵抗。接地系を構成する一部の抵抗を指す用語として使われることがある。
- 地絡抵抗値
- 地絡回路の抵抗値。接地の安全性評価や故障時の解析で用いられる。
- 接地系抵抗
- 接地系全体の抵抗。接地工事の評価や計算の文脈で使われることがある。
接地抵抗値の対義語・反対語
- 絶縁抵抗値
- 接地抵抗値の反対の概念。絶縁抵抗値は、絶縁体が漏れ電流を妨げる抵抗の大きさを指し、値が大きいほど漏れが少なく安全性が高くなる。地面へ導通させる目的の低い抵抗値である接地抵抗値とは、評価する観点が逆になります。
- 非接地系
- 地面と機器を電気的に結ぶ接地を行わない系。接地抵抗値が重要になる地絡・安全対策が適用されない、地面に接続していない状態を指します。
- 浮地（浮動地）
- 機器が地面と実質的に接続されていない“浮いている地”の状態。接地抵抗値の測定対象外であり、地絡を前提としない運用を意味します。
- アース不要（非接地機器）
- アース（接地）を必要としない機器・設計のこと。接地抵抗値の概念が適用されにくい、地面との導通を意図しない状態を示します。
- 高接地抵抗値
- 接地抵抗値が高い状態。低い接地抵抗値が望まれる安全性とは反対で、地面への導通が乏しい状態を示します。接地抵抗値の対義語としての数値的対比です。
- 絶縁状態
- 機器や導体が絶縁され、電流が地面へ流れにくい安全な状態。接地抵抗値で地面へ導通を狙う観点とは別の、漏えいを防ぐ観点の概念です。
- 地絡なし
- 地面との接地経路に異常がなく、故障時にも地絡を起こさない状態。接地を前提とした設計の安全性とは対照的な、地面へ抵抗を通じて電流を流す考え方の反対側に位置します。
接地抵抗値の共起語
- アース抵抗
- 地中の接地極と地表間を流れる抵抗。接地設計の基本指標で、地絡時の安全性に影響します。
- 接地極
- 地中に埋設して接地系を作る電極。棒・板・管など形状があり、地中と機器をつなぐ要です。
- 接地棒
- 最も一般的な接地極の一種。地中へ打ち込んで接地を提供します。
- アース棒
- 接地棒と同義で、地中へ埋設して接地を確保する部材です。
- アース線
- 機器と地面を結ぶ導体。外装を地電位に保つ役割を果たします。
- アース配線
- 建物内の接地導体の総称。複数の部材を適切に結線します。
- 接地工事
- 接地系統の設計・施工・検査を行う作業全般。安全性を確保します。
- 保護接地
- 機器の金属外装を地電位に接続して感電を防ぐ接地形態です。
- 地絡
- 絶縁不良などにより電流が地面へ流れるトラブル現象。安全対策の対象になります。
- 漏電
- 絶縁不良などで本来の経路以外へ電流が流れる現象。早期検知が重要です。
- 漏電遮断器
- 漏電を検知して電源を遮断する安全装置（RCD/GFCI）。感電防止に不可欠です。
- 三極法
- 地盤抵抗を測る代表的な測定法。3つの電極を用いて測定します。
- 二極法
- 2つの電極だけを用いる簡易な地盤抵抗測定法です。
- 土壌抵抗率
- 土壌の電気抵抗の性質を表す指標。地盤の導電性に大きく影響します。
- 接地抵抗測定
- 接地抵抗値を測定する作業そのもの。測定器と適切な方法が必要です。
- 接地抵抗計
- 接地抵抗を測定する専用の計測器。現場での評価に使われます。
- 等電位結線
- 建物内の金属部品を同じ電位に結線して感電リスクを低減する工法です。
- IEC規格
- 国際的な安全基準。接地工事の設計・施工に適用される指針を提供します。
- JIS規格
- 日本国内の規格。接地工事に関する要件を定め、安全性を担保します。
- 接地抵抗値の許容値
- 設計や法令で定められた、許容される最大の接地抵抗値。安全性の目安になります。
接地抵抗値の関連用語
- 接地抵抗値
- 地中の接地極と地球間の抵抗の値。単位はオーム（Ω）。安全性や機器の保護性能を評価する基本指標。
- 接地抵抗
- 接地系全体の抵抗。接地抵抗値とほぼ同義で、地面に逃がす経路の抵抗を指す概念。
- アース抵抗値
- アースと地球の間の抵抗の値。接地抵抗値と同義で使われることが多い。
- アース抵抗
- 地球へ接続する導体を通じる抵抗。接地の基本概念。
- 接地極
- 地中に埋設して地球と接続する端子・電極。棒状・板状・筒状など形状がある。
- 接地棒
- 最も一般的な接地極。地中に打ち込み、アース線を接続する棒状の電極。
- アース棒
- 接地棒の別称。
- 接地網
- 複数の接地極を網のようにつなぎ、等電位を作って接地抵抗を下げる配線。
- アース網
- 接地網の別称。
- 接地線
- 機器と地を結ぶ導体。金属筐体と地を接続する主導体。
- アース導体
- 接地線の正式名称。導体としての役割を強調。
- 接地極抵抗値
- 接地極自体の抵抗成分。地中と接続部の局所抵抗を表すことがある。
- 地中抵抗
- 地中に存在する抵抗の総称。接地抵抗の一要素。
- 土壌抵抗率
- 地盤の電気的抵抗の性質を示す指標。単位は Ω·m。湿度・温度・成分により変化。
- 土壌電気伝導度
- 土壌の伝導能力を示す指標。抵抗率の逆数で、S/m（Siemens per meter）で表されることが一般的。
- 落下法
- 落下法（フォールオブポテンシャル法）と呼ばれる地抵抗を測定する方法。3点式測定などを用いる。
- フォールオブポテンシャル法
- Fall-of-Potential法。地抵抗を測定する代表的な手法。
- 三点法
- 三点式測定法。地電位測定の基本手法の一つ。測定点と電流電極を配置して地抵抗を算出。
- ウェナー法
- Wenner法。4本の等間隔電極を直線に並べ、地盤の抵抗率を求める測定法。土壌調査などで使われる。
- 接地抵抗低減法
- 接地抵抗を低くするための方法。追加の接地極・接地網の拡張・導電性の改善などを含む。
- 接地抵抗低減材
- 導電性を高める材料やペーストなど、接地抵抗を下げる目的の材料。
- 雷サージ対策
- 雷サージによる過電圧から機器を守る対策。適切な接地とSPDの組み合わせが前提。
- サージ保護器（SPD）
- サージを遮断・抑制する装置。地絡対策として接地と組み合わせて使用。
- 避雷設備
- 避雷針と地中接地を含む雷保護設備。過電圧を地へ逃がす役割。
- 等電位結線
- 建物内の金属部材を同じ電位に保つための結線。人体保護と機器保護の観点で重要。
- 等電位杭/等電位線
- 等電位を確保するための導体や杭。大規模設備で用いられる。
- 測定器具・機器
- 接地抵抗計・地抵抗計・電位測定器など、測定を行う機器の総称。
- 測定条件・注意点
- 測定を行う際の温度・湿度・接触状態・電源状態など、精度を左右する条件。
- 許容値・規格
- 接地抵抗の許容範囲は用途・規格により異なる。法令・規格で定められていることが多い。
- 導電性の高い地盤改良
- 地盤の導電性を高めて接地抵抗を低減させる改良。薬液注入・湿度管理など。
- 鉄鋼構造物の接地
- 建物・鉄骨・鋼材の接地工事。金属部の安全性確保。
- 埋設深さ
- 接地極の埋設深さの設計要素。地盤・規格・防埋設性を考慮。
- 測定時の安全対策
- 測定作業時の感電・地絡防止の安全対策。適切な絶縁・ロックアウトが必要。
- 法令・規格
- 接地工事に関する日本の法令・規格（電気用品安全法、JIS、IECなど）。
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