

高岡智則
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ファルネシル化とは?
ファルネシル化とは、タンパク質にファルネリル基という長い炭化水素の“足”を付ける化学的な修飾のことです。生物の細胞は、たくさんのタンパク質を働かせながら生活していますが、特定のタンパク質は膜の近くにいる必要があります。ファルネシル化は、そうしたタンパク質が細胞膜へ移動しやすくなるように働く代表的な仕組みの一つです。修飾を受けたタンパク質は膜に吸着し、細胞内のシグナル伝達を正しく伝える準備が整います。この修飾がなければ、多くの信号伝達がうまく機能せず、細胞の反応が遅れたり誤作動したりします。
ファルネシル化のしくみ
ファルネシル化は、ファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)という酵素が、ファルネリル供与体であるファルネリルピロリン酸(FPP)を使って、CAAXモチーフと呼ばれる末端の配列をもつタンパク質のシステイン残基にファルネル基を結合させる過程です。CAAXモチーフは、特定の並び方をもつ末端領域であり、多くのタンパク質に見られます。結合された後には、さらに別の酵素による加工が続きます。例えばRce1がCAAXモチーフの末端を切り、ICMTがメチル化を行い、最終的に膜への固定が完成します。
なぜファルネシル化は大事?
この修飾はとくにRasファミリーなどの細胞内信号の“スイッチ”として働くタンパク質にとって欠かせません。膜に居場所を持つことで、受け取った信号を外へ伝え、細胞の増殖・分化・生存などの反応を調整します。そのため、ファルネシル化が壊れると、細胞の挙動が大きく変わることがあります。
応用と注意点
研究の一部では、FTaseを抑える薬(FTI: Farnesyltransferase inhibitors)を癌治療の補助として検討しました。ところが、Rasなどのタンパク質は別の経路に逃げてしまうことがあり、治療効果が限定的になることも報告されています。そのため、実際の薬として用いるには、他の治療法と組み合わせるなど、戦略を工夫する必要があります。
身近なイメージで理解するポイント
ファルネシル化は、「タンパク質に膜へ向かう足をつけて、細胞の外側に位置づける仕組み」と考えるとわかりやすいです。膜にうまく固定されることで、細胞内の信号の伝達が正しく進みます。また、すべてのタンパク質に必要なわけではなく、特定の機能をもつタンパク質に限定されます。
表で見る大事な語彙と流れ
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 基質 | FPP(ファルネリル供与体) |
| 酵素 | FTase(ファルネシルトランスフェラーゼ) |
| 標的 | CAAXモチーフをもつタンパク質のシステイン |
| 結果 | 膜への固定と信号伝達の活性化 |
膜への固定は、多くの細胞信号の開始に直結します。ファルネシル化は特定のタンパク質にのみ起こる修飾で、全てのタンパク質に必要というわけではありません。生物の体内では、ファルネシル化と他の修飾が組み合わさって、複雑な細胞挙動を生み出しています。
なじみやすいまとめ
本記事の要点は、ファルネシル化が「タンパク質を膜へと導く足場のような修飾」であること、 FTaseとFPPがその起点であること、そしてこの修飾が信号伝達にとって重要な役割を果たすことです。癌治療などの応用研究も進んでいますが、治療には複数の要素を考える必要があります。
ファルネシル化の同意語
- ファルネシル化
- タンパク質の末端にファルネリル基を付加する修飾。細胞内での局所的なタンパク質機能の調整に関与する、イソプレノイド系の修飾の一種です。
- ファルネリル化
- ファルネシル化の別表記。ファルネリル基をタンパク質に付加する修飾を指します(prenylation の一種)。
- ファルネリル基付加
- ファルネリル基をタンパク質に付加する具体的な表現。CAAX末端のシステインに付加されることが多い修飾です。
- ファルネシル化修飾
- ファルネシル化を含む、タンパク質の末端に脂肪族イソプレノイド基を付ける修飾全般を指す表現。
- プレニル化
- prenylation の日本語表現の一つ。ファルネリル化を含む、脂肪族イソプレノイド基をタンパク質に付加する修飾群を指します。
- プレニル基付加
- プレニル基をタンパク質に付加する修飾の表現。ファルネシル化を含む広義の修飾として使われます。
ファルネシル化の対義語・反対語
- 脱ファルネシル化
- ファルネシル基がタンパク質から取り除かれる現象。すでにファルネシル化されたタンパク質に対して起こる脱離プロセスを指す。
- 非ファルネシル化
- タンパク質がファルネシル化されていない、もしくはファルネシル化が成立していない状態。新規合成・翻訳後の加工でファルネシル化が起きていないことを意味する。
- ファルネシル化の阻害
- ファルネシル化の過程を妨げ、ファルネシル化が進まない、あるいは起きにくくする作用・状態。ファルネシル基の付加が起きないようにするメカニズムや薬理的阻害を含む。
- ゲラニル化
- ファルネシル化の代替となる脂質修飾の一種。タンパク質にゲラニル基が付加され、膜結合性・局在が変わる。
ファルネシル化の共起語
- ファルネシルトランスフェラーゼ
- ファルネシル基をタンパク質のCAAXモチーフのC末端に転移する酵素。膜局在化に不可欠な修飾を促します。
- ファルネシル基
- ファルネン系の脂肪酸基(C15のイソプレノイド)。タンパク質へ付加され、膜への結合を助けます。
- ファルネシルピロリン酸
- ファルネシル基の供与体となる前駆体。FPP(ファルネシルピロリン酸)として知られ、メバロン酸経路で合成されます。
- FPP
- ファルネシルピロリン酸の略称。ファルネシル化の実質的な供与体。
- CAAXモチーフ
- タンパク質のC末端近くにあるCys–A–A–Xの配列。ファルネシル化の標的部位として機能します。
- CAAX末端
- タンパク質のC末端領域で、CAAXモチーフが位置する末端部を指します。
- CAAXボックス
- CAAXモチーフと同義の表現。CAAX末端の特徴的配列を指します。
- 翻訳後修飾
- 翻訳後に起こるタンパク質の化学修飾の総称。ファルネシル化はその一種です。
- プレニル化
- 脂質性のファルネノイド基をタンパク質に付与する修飾の総称。ファルネシル化はこの一種です。
- 代替プレニル化
- ファルネシル化が阻害された場合、他のプレニル化が起こる現象。例:ゲラニルゲニル転移酵素による補償。
- ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤
- FTaseの働きを阻害する薬剤群。がん治療の研究や治療の対象となります。
- FTIs
- ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤の英語略称。
- ゲラニルゲニル転移酵素
- ゲラニル基をタンパク質に付与する酵素。Rasなど一部タンパク質で重要。
- 小GTP結合タンパク質
- GTPを結合して水解を繰り返すタンパク質群。ファルネシル化により膜へ局在します。
- RASタンパク質
- RASファミリーの小GTP結合タンパク質。ファルネシル化が膜局在に必須です。
- RASファミリー
- RASファミリー全体。ファルネシル化とプレニル化の対象となるタンパク質群。
- 膜局在化
- ファルネシル化などによりタンパク質が膜へ定位する現象。
- ICMT
- イソプレニルシステインカルボキシメチルトランスフェラーゼ。CAAX末端のカルボキシメチル化を担います。
- Rce1
- CAAX末端の前処理を行うCAAXプロテアーゼ。CAAX修飾の第一段階を担います。
- CAAXプロテアーゼ
- CAAX末端の前処理を担う酵素群の総称。Rce1を含みます。
- メバロン酸経路
- ファルネシル基を含むイソプレノイドの前駆体を生産する代謝経路。HMG-CoA還元酵素などが関与します。
ファルネシル化の関連用語
- ファルネシル化
- タンパク質のC末端近くにファルネリル基を付加する翻訳後修飾の一種。主にCaaXモチーフを持つ基質タンパク質に対して行われ、膜への局在化を促します。
- プレニル化
- ファルネシル化を含む脂質修飾の総称。ファルネリル基(15炭素)とゲラニル基(20炭素)の2系統があり、さまざまなタンパク質を膜へ tethering させます。
- 脂質修飾
- タンパク質の膜結合性を与える翻訳後修飾の総称。ファルネシル化のほか、パルミトイル化などの修飾が含まれます。
- ファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)
- ファルネリル基をファルネリル基供与体FPPからCaaXモチーフのシステインへ転移させる酵素。
- GGTase-I
- ゲラニル基をCaaXモチーフへ転移する酵素。ファルネシル基ではなくゲラニル基を付加します。
- GGTase-II
- Rabファミリーなどの基質タンパク質に対してゲラニル基を付加する酵素。
- CaaXモチーフ
- タンパク質のC末端に現れるCys-aa-Xの短い配列(CAAXボックスとも呼ばれる)。ファルネシル化/GGTase-Iの標的部位です。
- CAAX処理
- ファルネシル化後の加工過程。Xの種類に応じて切断(例:Rce1)やメチル化(Icmt)などが行われ、成熟した修飾ペアになります。
- Rasファミリー
- Ras、Rheb などのGTPaseファミリーは、膜へ局在するためにファルネシル化が必要な代表的基質です。
- Lamin A / Progerin
- HGPSなどで見られる Lamin A の加工異常に関与する。Progerin は過剰なファルネリル化を受けることで病態に影響します。
- FTIs(ファルネシル化阻害薬)
- ファルネシル化を阻害して膜局在化を妨げる薬剤の総称。がん治療や老化関連疾患の研究に用いられます。
- Lonafarnib
- FTIの代表的薬剤の一つ。がん治療やプロゲリアなどの臨床研究で用いられます。
- Tipifarnib
- 別のFTI。さまざまながん研究で検討される薬剤です。
- FPP(ファルネシルピロリン酸)
- ファルネリル基の供与体となる中間体。Mevalonate経路から生成されます。
- メバロン酸経路
- コレステロールや小分子イソプレノイドの生合成経路。FPP の供給源で、ファルネシル化の原材料を提供します。
- スタチン(HMG-CoA還元酶阻害薬)
- Mevalonate経路を抑制してFPP供給を低下させ、 prenylation 全体を抑制する薬剤群。
- Prenylome(プレニローム)
- プレニル化を受けたタンパク質全体の集合。研究の対象となる proteome の一部。
- Rab GTPases(Rabファミリー)
- GGTase-II の標的となる Rab ファミリーの小GTPase。細胞内の膜輸送を制御します。
- Rce1(CAAX処理酵素)
- CAAX末端の切断と初期加工を担う酵素。
- Icmt(Isoprenylcysteine carboxyl methyltransferase)
- CAAX末端のカルボキシル基をメチル化して成熟させる酵素。
- 翻訳後修飾
- タンパク質が翻訳後に受ける化学的修飾の総称。ファルネシル化はこの一種です。
- イソプレノイド生合成
- 糖以外の脂質性小分子(イソプレノイド)を作る代謝経路。ファルネン基やメバロン酸の前駆物質を生み出します。



















