高岡智則
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玄武岩質溶岩とは？
玄武岩質溶岩は地球のマグマが地表へ出てくるときの代表的なタイプのひとつです。溶岩とは地下深くで溶けているマグマが、地表へと移動して冷えることで固まったものを指します。地球にはさまざまな溶岩があり、成分の違いによって「玄武岩質」「安山岩質」「流紋岩質」などに分けられます。玄武岩質溶岩は低い粘度をもつため、流れやすく長く広い範囲に広がる特徴があります。
このタイプの溶岩は主に 二酸化ケイ素SiO2の含有量が比較的低いマグマからできており、鉄やマグネシウムといった黒っぽい金属元素を多く含みます。地球の海底や島嶼の火山でよく見られ、盾状火山と呼ばれる穏やかで広がる山体を作ることも多いです。
主な特徴
玄武岩質溶岩の大きな特徴は 低粘度と呼ばれる性質です。粘性が低いため、噴出のときに泡立ちにくく、粘着性が高い岩石（例えば安山岩や流紋岩）よりも流れるように広がりやすいのです。この性質が、海底のプレート境界やホットスポットの周辺での広い溶岩流を生み出します。
また、玄武岩質溶岩は主成分として 鉄・マグネシウムを多く含むため、黒っぽく見えます。冷えると黒色～暗い褐色の岩石になります。
どんな場所で見られるのか
玄武岩質溶岩は、地球のプレート境界の周辺や海洋リミットの近くでよく見られます。代表的な場所は 中洋脊と呼ばれる海底の巨大な裂け目、島嶼の火山帯、ホットスポットの周辺です。日本列島の周辺でも、古い火山活動の名残として玄武岩質溶岩の層が見つかることがあります。
噴火の様子と影響
粘度が低いことから、玄武岩質溶岩はしばしば穏やかな溶岩流として地表を流れ出します。長い距離を流れることが多く、 溶岩流が広い範囲を覆うことで地形を大きく変えることがあります。一方で、ガスが抜けるときに 火山の噴煙や火口周辺の熱風 を伴うこともあり、周囲の生態系や湿地・農地に影響を与える場合があります。
現場での観察ポイント
観察するときは、溶岩の流れ跡や岩石の色、砕石の分布、岩脈（岩が連なる線状の構造）などに注目します。玄武岩質溶岩の岩石は黒っぽく、風化すると赤茶色に変わることもあります。地表の溶岩流の先端が平らに広がっている様子は、盾状火山の特徴を示すことが多いです。
表でわかるポイント
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 粘度 | 低いため流れやすい |
| 主要成分 | SiO2 40〜52%、Fe・Mg など |
| 岩石名 | 玄武岩が代表的 |
| 噴火の形 | 溶岩流が長く広がる盾状火山的形態 |
| 見られる場所 | 海洋地殻の境界、中新世以降の火山域 |
まとめとして、玄武岩質溶岩は地球の表層を作る重要な素材のひとつです。低粘度で流れやすく、海底の広がりや島の形成に深く関与しています。地球がどう動くのかを知る手掛かりとして、学校の授業や自然観察の場で注目してみると理解が深まります。
玄武岩質溶岩の同意語
- 玄武岩質溶岩
- basaltic lava; 玄武岩と同等の成分をもち、シリカ量が比較的低い溶岩。流動性が高く、暗色の岩石を作る特徴があります。
- 玄武岩溶岩
- basaltic lava; 玄武岩質の溶岩を指す短縮形。日常的に使われる表現で、成分が玄武岩に近い溶岩を意味します。
- 玄武岩性溶岩
- basaltic lava; 玄武岩に近い組成・性質をもつ溶岩を表す言い方。用途は同じ、語感の違いです。
- 玄武岩質の溶岩
- basaltic lava; 玄武岩質の成分をもつ溶岩を丁寧に表す表現。意味は「玄武岩質溶岩」と同じです。
玄武岩質溶岩の対義語・反対語
- 流紋岩質溶岩
- 高いシリカ含有量と高い粘性を特徴とする溶岩。玄武岩質溶岩（低シリカ・低粘性）の対極に位置する代表的なタイプです。
- 高シリカ溶岩
- シリカ含有量が非常に高い溶岩。粘性が高く、流れが遅く地表に広がりにくい性質。玄武岩質の低シリカ・低粘性と反対の特徴です。
- 高粘性溶岩
- 粘性が高く流れが抑制される溶岩。樹状ドームや急峻な地形を作りやすく、玄武岩質の低粘性とは反対の性質です。
- デイサイト質溶岩
- デイサイト（dacite）成分の溶岩。中〜高シリカ・中〜高粘性で、玄武岩質の低粘性より粘性が高い傾向があります。
- 安山岩質溶岩
- 安山岩成分の溶岩。中程度のシリカ・粘性を持ち、玄武岩質の低粘性と対比される中間域のタイプです。
- 酸性溶岩
- 高シリカ・高粘性の溶岩を総称する表現。流紋岩質・デイサイト質・安山岩質などが含まれ、玄武岩質の低シリカとは対照的です。
玄武岩質溶岩の共起語
- 玄武岩
- 玄武岩はマグマが地表で急冷して固まってできる黒色〜暗色の岩石。玄武岩質溶岩の主要な成分で、低い粘度と高速の流下を特徴とします。
- 溶岩
- 地表へ噴出して流れ、固まる前の融解岩石。玄武岩質溶岩はこの溶岩の一種です。
- マグマ
- 地中で溶けている岩石のこと。地表に達する際には溶岩となって現れます。
- 火山岩
- 火山活動で形成された岩石の総称。玄武岩はその代表的な一種です。
- 低粘度
- 粘り気が少なく流れやすい性質。玄武岩質溶岩は一般に低粘度で広範囲へ流れます。
- 高温
- マグマ・溶岩はとても高温です。玄武岩質は高温で形成され、冷却速度が速いほど細粒の結晶になります。
- 鉄・マグネシウム含有（Fe・Mg）
- 玄武岩質は鉄とマグネシウムを多く含む「フェロマグネシウム質」。黒色をしている主な原因の一つです。
- 海洋地殻
- 大部分の玄武岩は海洋地殻を作る主要な岩石の一つです。海底の火山活動と深く関係します。
- 岩石分類
- 岩石を大別する学問。火成岩・堆積岩・変成岩のうち、玄武岩質溶岩は火成岩の一種です。
- 溶岩流
- 溶岩が地表を流れて広がる現象。玄武岩質溶岩は流動性が高く、長い溶岩流を作ることがあります。
- 黒色（黒褐色）
- 玄武岩質溶岩は黒っぽい色をしており、外観の特徴にも繋がります。
- 結晶化・冷却
- マグマが冷却して固まる過程。玄武岩質は細粒の結晶（またはガラス状）で固まることが多いです。
- 火山活動
- 地表での噴出・溶岩流を伴う現象。玄武岩質溶岩は活動的な火山で見られます。
- 岩石・岩種の名称（火成岩）
- 玄武岩質溶岩は火成岩の一種として分類されます。
玄武岩質溶岩の関連用語
- 玄武岩質溶岩
- 低粘性・低SiO2の溶岩。温度が高く流動性が高いため、地表を長く広範囲に流れ、盾状火山の典型的な形を作ります。
- 玄武岩
- 暗色の火成岩で、主成分はオリビン・輝石・斜長石などの鉱物。海洋地殻の主要成分で、塩基性岩の代表格です。
- 塩基性岩
- 比較的低いSiO2含量と高Mg・Feを特徴とする岩石群。玄武岩はこのグループに属します。
- 低シリカ（SiO2含量が低い）
- SiO2の含量が低く、粘性を抑える要因となる特性のひとつです。
- 低粘性
- 溶岩が流れやすく、長距離にわたって流れる性質のこと。
- マグマの組成: 玄武岩質マグマ
- 玄武岩を構成するマグマで、SiO2が低くMg・Feが豊富な性質を持ち、溶岩質として地表へ噴出します。
- 溶岩流
- 地表へ流れ出す溶岩の流れのこと。地形を大きく変えることがあります。
- 溶岩チューブ
- 表面の外皮が先に固まり、内部を溶岩が移動することで地下に空洞を作る現象。
- 盾状火山
- 低粘性の玄武岩質溶岩が広く広がることでできる、滑らかな斜面を持つ火山の形態。
- ハワイ型噴火
- 穏やかに溶岩が流れ出すタイプの噴火で、主に溶岩流を中心に進行します。
- 長距離溶岩流
- 低粘性の玄武岩質溶岩が数十キロメートル以上も流れることがある現象。
- 海成玄武岩
- 海底で形成される玄武岩。海洋プレートの冷却で生じます。
- 溶岩扇
- 山麓で溶岩が広がり扇状の堆積地を作る地形。
- 火山岩
- 火山活動によって形成・冷却してできた岩石の総称（玄武岩も含まれます）。
- オリビン
- 玄武岩にみられる緑色〜黄緑色の鉱物で、Mg・Feを豊富に含みます。
- 輝石
- 玄武岩の主要鉱物のひとつ。黒〜暗色の結晶で、Mg・Feを多く含みます。
- 斜長石
- 玄武岩の主要鉱物のひとつ。白〜灰色の結晶で、長石族に属します。
- ホットスポット関連の玄武岩
- ホットスポットから供給されるマグマにより形成される玄武岩は、ハワイ式環境の噴火でよく見られます。
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