

高岡智則
年齢:33歳 性別:男性 職業:Webディレクター(兼ライティング・SNS運用担当) 居住地:東京都杉並区・永福町の1LDKマンション 出身地:神奈川県川崎市 身長:176cm 体系:細身〜普通(最近ちょっとお腹が気になる) 血液型:A型 誕生日:1992年11月20日 最終学歴:明治大学・情報コミュニケーション学部卒 通勤:京王井の頭線で渋谷まで(通勤20分) 家族構成:一人暮らし、実家には両親と2歳下の妹 恋愛事情:独身。彼女は2年いない(本人は「忙しいだけ」と言い張る)
第一原理計算とは?初心者にもわかる基本と身近な例
第一原理計算とは、実験データに頼らず、物質の性質を基本的な物理法則だけで予測する計算手法です。つまり、原子や電子がどう動くかという自然界の基本ルールを使って、物質がどのような性質を持つかを計算で知ろうとする方法です。
この計算は主に量子力学という分野の考え方を使います。電子は粒のようでもあり波のようでもあり、複雑な動きをします。第一原理計算では、これらの動きを数学的に近似して解くことで、原子同士の結合の強さ、材料の硬さ、反応のエネルギーなどを求めます。「何かを作る前に、どう動くかを理論で予測する」という考え方が大きな特徴です。
ただし、第一原理計算は万能ではありません。計算はとても難しく、時間と計算資源(パソコンの力)をたくさん使います。また、現実の材料はたくさんの原子が集まっており、近似の仕方によって結果が変わることもあります。そんなときは、実験データや経験的な手法と組み合わせて使うことが多いです。
どういう場面で使われるのかを知ると、第一原理計算の役割が見えてきます。新しい材料を設計するとき、あるいは分子の反応がどう進むかを知りたいとき、実験だけでは時間がかかりすぎる場合に計算が役立ちます。例えば、電池の材料、太陽電池の材料、触媒の性質など、物質の内部の性質を事前に予測することで、探索の効率を高めることができます。
代表的な手法の一部としては密度汎関数理論(DFT)などがあります。DFTは、電子の密度という考え方を使って、原子の配置がどうエネルギーと結びつくかを計算します。これにより、原子の配置を変えたときの安定性や性質を比較的現実的な計算コストで調べられます。とはいえ、DFTにも近似があり、全ての現象を完全に再現できるわけではありません。研究者は計算結果を実験データと照らし合わせて、解釈を深めていきます。
以下の表は、第一原理計算と経験的手法の違いを簡単に整理したものです。初心者にもイメージがつかみやすいように作りました。
| 比較項目 | 第一原理計算 | 経験的手法 |
|---|---|---|
| 前提データ | 基本物理法則のみを使用 | 実験データや既知の情報を使用 |
| パラメータ | 原理に基づく近似が多い | 経験的係数が多く使われる |
| 計算コスト | 時間と資源がかかる | 比較的低コストで速い場合が多い |
| 適用領域 | 新しい材料や未知の反応の予測 | 既知の系の精密化・補正 |
この記事を読んでほしいポイントをまとめます。第一原理計算は「基本法則だけで予測する力」を持つ強力なツールです。けれども、現実の物質は複雑で、計算には限界が伴います。だからこそ、理論と実験を組み合わせるという発想が大切です。読者のみなさんが高校や大学で物理・化学を学ぶ過程で、第一原理計算の考え方に触れる機会があれば、専門書だけでなく身近な例題からも理解を深めていけるでしょう。
最後に、第一原理計算を学ぶ際のコツをいくつか挙げます。まず、専門用語を一度に覚えようとせず、用語を一つずつ理解すること。次に、実際の研究論文を読むときには、どの近似を使っているか、どの物理量を予測しているかを意識することです。これらを押さえると、難しそうに見える第一原理計算も、段階的に理解できるようになります。
第一原理計算の同意語
- 第一原理計算
- 物質の性質を、経験的データを用いずに、量子力学の基本原理だけで予測する計算手法。
- ab initio計算
- 同じく、初原理から出発して物性・分子の性質を計算する手法。経験的パラメータを用いない点が特徴。
- AB INITIO法
- ab initio計算の英語表記を日本語化した法。計算の根幹は第一原理に基づく。
- アブ・イニシオ計算
- アブ・イニシオ法と同義の計算手法。初原理に基づく予測を行う。
- アブ・イニシオ法
- ab initio法の表記の一つ。初原理からの計算を指す。
- 第一原理法
- 第一原理に基づく計算手法の総称。経験的データを使わずに物性を予測する点が共通。
- 第一原理に基づく計算
- 第一原理に基づいて行う計算全般のこと。量子力学の原理を出発点とする。
- 第一原理ベースの計算
- 第一原理ベース、つまり初原理に基づく計算手法の意。計算の核となる原理は同じ。
- ab initio手法
- ab initio計算に対応する表現。初原理に基づくアプローチを指す。
- アブ・イニシオ手法
- ab initioの別表現。第一原理計算の手法の総称。
第一原理計算の対義語・反対語
- 経験的計算
- 実験データや経験則に基づいて行う計算。第一原理のように基本物理法則から厳密に導くのではなく、既知のデータや経験則で近似する手法。
- 現象論的モデル
- 現象を観察された挙動だけで説明する近似モデル。基礎的な相互作用を厳密に解くのではなく、観測結果に合わせてパラメータを設定する。
- 半経験的計算
- 第一原理と経験的手法を併用するアプローチ。部分的に経験的近似を用い、計算の負荷を軽減する。
- 経験的ポテンシャル
- 物質の相互作用を経験データに基づくポテンシャル関数で表現する方法。第一原理ポテンシャルとは異なる近似。
- データ駆動計算
- 機械学習やデータ解析を用いて物性を予測する手法。物理方程式を直接解くのではなく、データからパターンを学習する。
- 実験データ依存の予測
- 予測・設計の基盤を実験データに依存させ、第一原理の厳密性を置かない手法。
- 現象論的手法
- 現象に基づく経験的な説明・予測手法。
- 観測ベースのアプローチ
- 実測データを基にした解析・予測アプローチ。
- 機械学習ベースの予測
- ニューラルネットワークなどを使いデータから材料特性を予測する方法。第一原理とは異なるパラダイム。
- 経験則重視のモデリング
- 長年の経験で得られた経験則を用いたモデリング。
第一原理計算の共起語
- 密度汎関数理論
- 第一原理計算の代表的な枠組みで、電子の密度から材料の性質を予測する方法です。
- 局所密度近似
- 密度に基づく交換-相関エネルギーを局所的に近似する手法。
- 一般化勾配近似
- 電子密度の勾配を考慮して交換-相関を近似する近似法で、計算精度の向上に寄与します。
- ハイブリッド関数
- 交換エネルギーの一部に別の理論を混ぜて精度を高める近似。
- 疑似ポテンシャル
- コア電子を省略し、価電子だけを扱う近似ポテンシャル。
- PAW法
- 擬ポテンシャルの拡張技術で、精度と計算効率のバランスを取る手法。
- 平面波基底
- 波動関数を平面波の線形結合で表現する計算基底。
- k点サンプリング
- 逆格子上を離散化してバンド構造を求める手法。
- 自己無撞着場計算
- 電子密度を反復的に求め、安定した解に到達させる計算手法。
- 基底関数
- 計算で用いる関数の集合。選択が計算精度と規模を左右します。
- 結晶構造
- 原子の配列と格子情報。第一原理計算の入力となる基本データ。
- 幾何最適化
- 原子配置をエネルギー最小化する計算手順。
- エネルギー収束
- 計算エネルギーが設定した閾値まで安定する状態。
- 力の収束
- 原子に働く力が閾値以下になる状態。
- バンド構造
- 材料中の電子エネルギー帯の分布を図示したもの。
- バンドギャップ
- 価電子帯と伝導帯の間のエネルギー差。半導体・絶縁体を判断する指標。
- 電子構造
- 材料の電子エネルギー分布と状態の総称。
- 電子密度
- 空間に分布する電子の密度分布。
- 交換-相関エネルギー
- 電子間の相互作用を近似的に表すエネルギー項。
- フォノン計算
- 格子振動を第一原理で予測し、熱性質を評価します。
- DFT+U
- 局所的な強い相関を補正する追加的な近似。
- スピン偏極計算
- スピンの向きを考慮して計算する設定。
- 欠陥計算
- 材料中の欠陥が性質に与える影響を調べる計算。
- 計算ソフトウェア
- VASP、Quantum ESPRESSO、ABINIT、CASTEP などの計算パッケージの総称。
- 計算コスト
- 必要な計算時間・メモリ・資源の目安。
- 温度効果の扱い
- フォノン補正や分子動力学で温度の影響を評価します。
第一原理計算の関連用語
- 第一原理計算
- 物理現象を実験データや経験的パラメータに頼らず、基礎的な原理(主に量子力学)から計算する方法。電子の振る舞いを理論的に予測します。
- 量子力学
- 物質とエネルギーの最小単位である量子の振る舞いを扱う基本理論。第一原理計算の理論的土台となる。
- 電子構造計算
- 原子核の位置に対して電子の分布やエネルギー準位を求める計算の総称。
- 密度汎関数理論 (DFT)
- 電子密度を中心に据え、交換相関エネルギーを近似して基底状態を求める第一原理法の代表格。多くの固体・分子の計算で用いられる。
- ハートリー・フォック法 (HF)
- 多電子系の波動関数を近似する古典的な第一原理法。相関効果は近似的に扱う。
- 自己無撞着場 (SCF)
- 電子の密度とポテンシャルを反復的に自己無撞着に解く計算手法。DFTやHFの基盤となる。
- Kohn-Sham方程式
- DFTを実装する際に用いられる、実効的な非相互作用系の方程式。エネルギーと密度の関係を扱う核心。
- 基底関数 (Basis set)
- 波動関数を展開するための関数セット。分子軌道計算で用いられる。
- 平面波基底 (Plane-wave basis)
- 固体計算でよく使われる、波のような平面波の基底。大規模計算に適する。
- 擬ポテンシャル (Pseudopotential)
- 核とコア電子の影響を軽く扱い、価電子のみの計算を容易にする近似。
- PAW法 (Projector Augmented-Wave)
- 擬ポテンシャルを改良し、全電子計算に近い精度を保つ手法。
- 全電子計算 (All-electron calculation)
- 核外のすべての電子を厳密に扱う計算。LAPWなどの手法が代表例。
- 交換相関関数 (Exchange-correlation functional)
- DFTで電子間相互作用を近似表現する関数。
- LDA (Local Density Approximation)
- 局所密度近似。密度が局所的に一定と仮定する簡易近似。
- GGA (Generalized Gradient Approximation)
- 勾配補正を加えた近似。現実的な精度と計算コストのバランスが良い。
- PBE
- 一般的なGGA交換相関関数の一つ。実務で広く使われる。
- バンド構造 (Band structure)
- 固体内部の電子エネルギーと波数の関係を示す図。金属・半導体の性質を理解する。
- 電子密度 (Electron density)
- 空間における電子の分布。DFTの基本量として用いられる。
- DOS (Density of States)
- エネルギーごとの電子状態の密度を表す量。材料の性質を読み解く指標。
- PDOS (Projected DOS)
- 特定の原子・軌道寄与を分解表示したDOS。
- SCF収束 (SCF convergence)
- 自己無撞着場計算が安定して収束するかどうかの評価。
- ジオメトリ最適化 (Geometry optimization)
- 分子・結晶の構造をエネルギーが最低になる形へ調整する計算。
- アブイニシオ分子動力学 (Ab initio molecular dynamics, AIMD)
- 第一原理計算に基づく分子の時間発展を追うシミュレーション。
- TDDFT (Time-Dependent DFT)
- 時間依存の現象や励起状態、分光特性の計算に用いる。
- GW近似
- 電子の準粒子エネルギーを改善する高度な近似。バンドギャップの予測改善に有効。
- BSE (Bethe-Salpeter Equation)
- 励起子の性質を扱う方程式。光学応答の計算に用いられる。
- 波動関数 (Wavefunction)
- 電子の量子的状態を表す基本量。
- 分子軌道 (Molecular orbitals, MO)
- 分子全体の電子の状態を表す軌道。
- k点サンプリング (k-point sampling)
- ブリルアンゾーンを離散点で近似して計算する手法。固体計算で重要。
- フェルミ準位 (Fermi level)
- 電子の基準エネルギー。低温での基底状態を決定づける。
- スピン極化計算 (Spin-polarized calculation)
- 磁性・スピン諸量を考慮した計算。
- 分散補正 (van der Waals correction)
- DFTの欠点である分散力を補う補正。
- DFT-D3 / Grimme補正
- 分散補正の実用的な代表手法の一つ。
- vdW-DF
- 分散力を直接取り入れたDFTの表現法。
- ソフトウェア例
- VASP, Quantum ESPRESSO, ABINIT, WIEN2k, CASTEP, CP2K, Gaussian, GAMESS, NWChem などの第一原理計算ソフトウェア。



















